危険な第3の脂肪レムナントとは?中性脂肪、コレステロールだけではなかった動脈硬化の大きな要因!

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つまった血管脂質異常症の診断には 中性脂肪コレステロールの数値が基準となり、コレステロールは悪玉コレステロール(LDL)と善玉コレステロール(HDL)に分けられます。

最近では、さらにレムナントや超悪玉コレステロール(sdLDL)という物質も問題視されています。

今回は、レムナントとは、どのような物質なのか、増えすぎるとどのような問題が起きるのか、超悪玉コレステロール(sdLDL)の生成過程も含め解説していきます。

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レムナントとは?性質と特徴

レムナントは、英語の「remain(残る)」が語源で「残り物」という意味です。

別名、レムナントリポ蛋白、レムナント粒子、中間比重リポ蛋白(IDL)などとも呼ばれています。

レムナントとは何か、どのようにして生じるのかを見ていきましょう。

リポ蛋白とレムナントの関係

血液が流れる血管中性脂肪やコレステロールが血液中に運ばれる際、脂質だけでは血液に溶け込めないため、親水性のあるアポ蛋白と結合します。

その結合体をリポ蛋白と言います。

リポ蛋白は、「中性脂肪+コレステロール+アポ蛋白」で構成され、血液中を循環します。

リポ蛋白には、4種類あります。

  • カイロミクロン:
    中性脂肪が約85%/コレステロールが約7%/アポ蛋白が約2%
  • VLDL(超低比重リポ蛋白) :
    中性脂肪が約55%/コレステロールが約20%/アポ蛋白が約8%
  • LDL(低比重リポ蛋白):
    中性脂肪が約10%/コレステロールが約45%/アポ蛋白が約20%
  • HDL(高比重リポ蛋白):
    中性脂肪が約5%/コレステロールが約25%/アポ蛋白が約40%

カイロミクロンやVLDLは、血液中を巡りながら末梢組織へ運ばれ、そこでLPL(リポ蛋白リパーゼ)により、中性脂肪が分離されます。

中性脂肪が分離された後、残ったリポ蛋白のことをレムナントと言い、それぞれカイロミクロンレムナント、VLDLレムナント(=中間比重リポ蛋白:IDL)と呼ばれています。

IDLが酵素により分解されると、LDLになります。LDLが組織に運ばれ、コレステロールが分離されると、HDLになります。

レムナントの特徴

肝臓レムナントは、通常は速やかに代謝され、肝臓に取り込まれていきます。

しかし、LPLの活性化が低下すると、肝臓に取り込まれず血液中に長時間停滞し、動脈硬化を引き起こします。

悪玉コレステロール(LDL)が、動脈硬化を引き起こす場合は、血液中で活性酸素により酸化され血管壁を傷つけ血栓などを作り動脈硬化を進行させます。

しかしレムナントの場合は、粒子が小さいため血管を傷つける働きが強く動脈硬化を進行させる作用があり、より危険度が高いと言われています。

高レムナント血症の原因、リスク

レムナントが高くなる原因はどこにあるのでしょうか。

糖尿病や、メタボリックシンドロームは高レムナント血症になりやすい

メタボ糖尿病やメタボリックシンドロームにより、インスリン分泌低下、インスリン抵抗性(インスリンが正常に働けない状態)がある場合、LPLの活性化が低下します。(※)

LPLの活性化が低下すると、レムナントが代謝されず、血液中に停滞してしまい、高レムナント血症につながります。

※血糖を下げるため膵臓から分泌されるホルモンである「インスリン」は、リポ蛋白から中性脂肪を分離させるLPL(リポ蛋白リパーゼ)を活性化させる働きがあります。

中性脂肪はレムナントの増加原因

血液中の中性脂肪が多いと、インスリン抵抗性が起こり、LPLの活性化低下が起きます。

その結果、中性脂肪を豊富に含むカイロミクロン、カイロミクロンレムナントが代謝されず、血液中に長時間にわたり停滞します。

その状態を食後高中性脂肪血症と言います。

そして、インスリンの作用低下は、小腸での脂質の吸収を促進し、さらなるカイロミクロンの合成が進められることになります。

カイロミクロンの合成が増進、代謝が低下するため、食後高中性脂肪血症となり、それに伴い高レムナント血症が引き起こされるのです。

高レムナント血症は動脈硬化を引き起こす

動脈硬化糖尿病やメタボリックシンドロームでは、食後高中性脂肪血症を発症しやすく、これを基盤に高レムナント血症が引き起こされます。

先述した通り、レムナントは粒子が小さいため、容易に血管壁を傷つけ動脈硬化を促進させる非常に危険な因子です。

さらに高中性脂肪血症の場合、LDLが小型化しやすく、さらに粒子が小さいとLDLの酸化が促進されます。

小型になったLDLは、sdLDL(small denseLDL)と呼ばれ、血管壁に透過しやすく通常のLDLより強力に動脈硬化を進行させます。

そのためsdLDLは、超悪玉コレステロールとも呼ばれています。

高中性脂肪血症下では、レムナント、sdLDLなど動脈硬化を加速させる因子が増進するため、中性脂肪の管理がとても重要になることが分かります。

レムナントの基準値

レムナントの血液中の濃度は、レムナントの数値を反映するRLP-C(レムナント様リポ蛋白コレステロール)の測定値で評価できます。

RLP-Cは、狭心症や心筋梗塞など、動脈硬化性の疾患で高い陽性率を示します。

レムナントは代謝が速いため、健康な人の空腹時血中にはほとんど存在しません。

RLP-Cの基準値は7.5㎎/㎗以下で、それ以上は高レムナント血症で治療の対象となります。

冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)や糖尿病が既往歴にある場合は、5.2㎎/㎗以上がハイリスク域になります。

高レムナント血症の治療、レムナント数値の下げ方

高レムナント血症と診断された場合、どのような治療が行われるのか見ていきましょう。

食事の改善

レムナントの数値を下げるには、中性脂肪対策が必須です。

動脈硬化中性脂肪は、食事との関連が深いため、まず食事の改善を行います。

次のことに注意していきましょう。

  • 適正体重から適正エネルギーを算出し、それ以上摂取しないよう気を付ける

<適正体重の算出法>
身長(m)²×22

<1日に必要なエネルギーの算出法>
軽労働の場合—適正体重×25-30㎉
中労働の場合—適正体重×30-35㎉
重労働の場合—適正体重×35㎉

  • 飽和脂肪酸の多い食品(肉の脂身・内臓・皮、バター、ラード、乳製品)を摂り過ぎない
  • 不飽和脂肪酸の多い青魚(さば、まぐろ、いわしなど)、皮のない鶏肉、大豆製品を中心とした食事にする
  • 野菜、海藻をバランスよく摂る(野菜や海藻には、血糖の上昇を抑えたり、脂質を排出する食物繊維、 代謝の補酵素となるビタミン類が豊富)
  • アルコールを控える

このように見ると、和食中心の食事が中性脂肪対策に有効であることが分かります。

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生活習慣の改善

食生活の改善食生活とともに生活習慣の改善も大切です。

  • 禁煙:
    喫煙は血管壁にダメージを与え、動脈硬化を促進させます。喫煙者の人は減らすようにしましょう。

たばこを吸う喫煙者は中性脂肪値が高いリスク3倍!?その危険性と今日からできる対処法を看護師が教えます

  • 運動の習慣化:
    エネルギーを消費し、体内の代謝を促す運動を習慣化しましょう。 中性脂肪を燃焼させるには、ウォーキング、サイクリング、ヨガ、水泳などの有酸素運動が有効です。

「誰でもできる」にこだわった!インドア派でも続く中性脂肪を下げる有酸素運動・無酸素運動

フィブラート系薬の使用

中性脂肪値が基準値を超え、食習慣や生活習慣の改善でも数値が下がらない場合は薬物治療となります。

食事や生活習慣の改善とともに、フィブラート系薬剤が有効で、検査結果を踏まえた上で医師により処方されます。

フィブラート系薬剤には、ベザフィブラート(商品名:ベザトールSR、ベザリップ)、フェノフィブラート(商品名:リピディル)などがあります。

作用として、肝臓での中性脂肪産生抑制、LPL(リポ蛋白リパーゼ)の生成や活性化などがあり、中性脂肪低下効果が優れています。

フィブラート系薬剤は足がつったり筋肉にハリがでたりといった副作用が現れる可能性があります。もし服用中に何らかの異常を感じたら医師に相談しましょう。

まとめ

生活習慣の改善レムナントは、LDLより動脈硬化を強く促進する危険因子です。

中性脂肪と連動し増加する因子であるため、日頃から食生活や生活習慣に気を配り、中性脂肪を増やさない生活を心がけましょう。

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監修者 山浦 真理子医師


帝京大学大学院卒業後、世界共通の医学博士号であるPh.D.を取得。米国ワシントンD.C.とニューヨークへ留学経験あり。宇宙環境医学の研究者として論文を執筆。現在は、上用賀世田谷通りクリニックにて内科医として勤務しています。

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