看護師が解説!高トリグリセリド血症(高中性脂肪血症)の診断と治療方針

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1964_189動脈硬化性の疾患(心筋梗塞や狭心症、脳血管疾患など)に罹患する人は年々増加しています。

その動脈硬化の原因の一つに高トリグリセリド血症があります。

高トリグリセリド血症は、血中の脂質のうち、中性脂肪値が高い状態を指し、適切な対処をしない場合、知らず知らずのうちに動脈硬化が進行している可能性があるのです。

ここでは中性脂肪の数値がいくつになると高トリグリセリド血症と言われるのか、その診断基準と、数値別の治療方針について看護師がご紹介します。

もっと詳しく:
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高トリグリセリド血症の診断基準と治療方針

中性脂肪値の基準値(正常値)は、30~149mg/dlです。

150mg/dl以上の場合を「高トリグリセリド血症」といいます。数値により軽度~高度に分類されます。

程度が軽いものから順に解説していきます。

軽度高トリグリセリド血症

1964_174中性脂肪値:150~299mg/dl

経過観察レベル

治療方針:食生活の改善や運動療法を行います。改善が見られない場合は、薬物療法を始めることもあります。

中等度高トリグリセリド血症

1964_175中性脂肪値:300~749mg/dl

要注意レベル

治療方針:食生活の改善や運動療法に加え、薬物療法を行うことがほとんどです。

500mg/dl以上では、膵炎を発症する危険性があるため、薬物療法を行います。禁酒も必須事項になります。

高度高トリグリセリド血症

1964_173中性脂肪値:750mg/dl以上

危険レベル

治療方針:急性膵炎を発症する危険性が非常に高くなるため、薬物療法で治療します。

中性脂肪の検査時の注意点

1964_177中性脂肪は、食後4~6時間で最大値になります。

正確な数値を知るためには、空腹時に採血することが基本になり、12~16時間は絶食する必要があります。

そのため、検査前日夕食後から絶食とし、検査当日の朝食は食べないで行きましょう。

水分は、糖分の含まれていないもので適時補給してください。

また、アルコールは肝臓での中性脂肪の合成が促進されるため、検査前日は飲酒も控えましょう。

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生活習慣の乱れ以外の高トリグリセリド血症で考えられる疾患

1964_180糖尿病は、血液中の糖分が多すぎる状態です。

この余った糖分は肝臓で中性脂肪に合成され、脂肪細胞に貯蔵されますが、増え過ぎると血中に放出されます。

そのため糖尿病がある場合、高い頻度で高トリグリセリド血症を併発しています。

甲状腺機能低下症

1964_113甲状腺はのどぼとけのすぐ下にあり、「甲状腺ホルモン」という、新陳代謝を活発にし、エネルギー代謝を調節する重要なホルモンが分泌されています。

甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの分泌が悪くなり、疲労感、無気力、むくみ、皮膚の乾燥、寒がりになるなどの症状が現れます。

そして食欲がなくなり食べる量が減りますが、 新陳代謝の低下により、エネルギー消費が減っているため体重は増えていきます。

その結果、脂肪が蓄積され、中性脂肪が上昇することになります。

ネフローゼ症候群

腎臓疾患群であるネフローゼ症候群は、タンパク質が尿中に多量に出てしまい、血液中のタンパク質が減り、低タンパク血症となることで、むくみが起こる病気です。

血液中のタンパク質量が下がると、肝臓にてタンパク質の1つ、アルブミンの生成が促進されます。その際、リポ蛋白の生成も促されます。

リポ蛋白は、内部に中性脂肪、コレステロールを含有しているため、リポ蛋白が増えることは、中性脂肪やLDLコレステロールを増やすことになるのです。

中性脂肪の管理目標値

1964_178血液中の脂質をどこまで下げるか、目標数値を具体的にしたものを脂質管理目標値といいます。

目標値は個々人で違ってきます。

性別年齢喫煙歴、血圧、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)、糖尿病、腎臓病の既往歴などをチェックし、目標値が決まります。

コレステロールは既往歴などのリスクにより目標値が変わりますが、中性脂肪はどんな場合でも150mg/dl以下が目標値となっています。

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まとめ

1964_131高トリグリセリド血症は、軽度だからと放置しておくと、体の中では動脈硬化が進んでしまう危険な病気です。

生活習慣の乱れが原因のことが多いですが、原因になる疾患が潜んでいることもあります。

検査結果や普段の症状などをよく確認し、原因に合った治療法を行っていくことが大切になります。

心配な時は、早目に医療機関を受診し、医師に相談することをおすすめします。

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監修者 山浦 真理子医師


帝京大学大学院卒業後、世界共通の医学博士号であるPh.D.を取得。米国ワシントンD.C.とニューヨークへ留学経験あり。宇宙環境医学の研究者として論文を執筆。現在は、上用賀世田谷通りクリニックにて内科医として勤務しています。

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