たばこを吸う喫煙者は中性脂肪値が高いリスク3倍!?その危険性と今日からできる対処法を看護師が教えます

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1096_152016年度の喫煙率は19.3%(男性:29.7% 女性:9.7%)で、年々減少していますが、日本は諸外国と比べるとまだ高い状況です。

喫煙はさまざまな病気の原因になりますが、喫煙者と非喫煙者で病気の発症リスクを比べると、中性脂肪の増加が関与するメタボリックシンドロームは3倍高く、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)は2~3倍高くなっています。

中性脂肪は過食、飲酒、ストレス、睡眠不足などさまざまな原因で上昇しますが、喫煙もその原因の一つです。

たばこは体にどのような影響を与えるのか、中性脂肪とはどのように関わっているのか、そして今日からできる改善策を看護師が解説していきます。

<参考>
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中性脂肪が高いとどんなリスクがあるの?

中性脂肪は人が活動するための大切なエネルギー源ですが、余ると内臓に溜まり、内臓脂肪が増加してメタボリックシンドロームにつながります。

多くは肝臓に蓄積されるため、過剰になると脂肪肝を引き起こします。
中性脂肪が脂肪肝を生じさせる理由と対策

中性脂肪が血中に増えると、善玉コレステロール(悪玉コレステロールを運び出す役割)を減らしてしまい、悪玉コレステロールが血中に残り、血管壁に沈着して動脈硬化が進みます。

動脈硬化が進行すると、虚血性心疾患や脳血管疾患など、生命に関わる病気に発展するリスクが高まってしまうのです。
中性脂肪・動脈硬化が引き起こす病気

中性脂肪とたばこの関係

1964_89中性脂肪とたばこには、一見あまり関連性がないように思いますが、実は密接な関係があり、共に血管に大きく関連しています。

たばこは血管へ大きなダメージを与える

たばこの影響を最も受ける器官は血管です。

たばこのニコチン、一酸化炭素などの有害物質は血管に次のような弊害をもたらします。

・血管を収縮させる
→血流が低下してしまい、循環障害が起きる
→各組織へ酸素が運搬されなくなる
→各組織が弱くなり機能不全になる

・血管壁が損傷を受ける
→血管が劣化してしまう

・血液成分が凝固しやすくなる
→血液がドロドロになり、血栓ができやすくなる

・交感神経が興奮してしまう
→血圧、血糖値が上昇してしまう
血糖値の急上昇を防ぐと中性脂肪も下がる?血糖コントロールのコツを栄養士がアドバイス

喫煙は、血管の収縮などの連鎖で血圧を上昇させ、損傷で弱くなった血管に更に圧力を掛けるため、動脈硬化の進行を早めてしまいます。

たばこは中性脂肪を上げる直接原因にも

さらにたばこは中性脂肪との直接的な関係もあります。

喫煙により次のような現象が起きます。
  • アディポネクチン(肥満を抑制する物質)の分泌低下
  • 脂肪分解酵素の分泌低下

アディポネクチンや脂肪分解酵素は、本来であれば体内で十分分泌される成分です。

しかし、喫煙により分泌が抑制されるため、中性脂肪が溜まりやすくなり、メタボリックシンドロームを引き起こすリスクが上がってしまうのです。

中性脂肪が高い人の喫煙は動脈硬化を加速する

中性脂肪は悪玉コレステロールを小型化し、血管に沈着しやすくさせます。

すでに血管にダメージのある人がたばこを吸うと、血管収縮、血圧上昇などと共に、さらなる脂肪増加、コレステロールの血管沈着などが次々と積み重なり、悪循環が加速します。

その結果、動脈硬化の進行速度が一気に早まることになります。

中性脂肪が高い人がたばこを続けると生じやすい病気

1964_86喫煙も中性脂肪の増加も、共に動脈硬化を早めてしまいます。動脈硬化が進むと、血管壁にコレステロールが沈着して血管が狭くなり、血流の悪化、弾力の低下、血管の劣化などが起こります。

その結果、次のような症状、病気につながるリスクが高まります。
  • 心臓に負担がかかる→ 高血圧、心肥大、心不全など
  • 臓器、組織の機能不全→ 心筋梗塞、狭心症、脳梗塞など
  • 臓器、組織の壊死→ 下肢閉塞性動脈硬化症など
  • 血管が破れやすくなる→ 脳出血など

喫煙による心疾患発症リスクは3倍、脳梗塞は2.5倍になると言われています。

病気のリスクを下げ、動脈硬化の進行を抑えるためには、たばこを減らす+中性脂肪を下げるという両側からの対策が必要になってきます。

たばこが体に与える影響

1964_87たばこの煙には200種類以上の有害物質が含まれ、さまざまな病気の原因になっています。

肺気腫、慢性気管支炎など呼吸器系の病気はもちろん、食欲低下や胃腸障害、妊娠中の胎児への影響(流産、早産、死産、低体重児、先天異常など)もあります。

また発がん性物質も50種類以上含まれています。

肺がん、喉頭がんなど、たばこの煙が直接触れる部位のがんのみでなく、有害物質は血中に吸収され全身を巡るため、胃、食道、肝臓、すい臓、膀胱、子宮頚がんなどにかかるリスクも高まります。

また受動喫煙も社会問題になっています。たばこの先から立ち上る副流煙は、喫煙者が吸う主流煙より有害物質が多く含まれています。

受動喫煙でも喫煙者同様の健康被害が引き起こされるため、社会全体で改善していく課題となっています。

たばこには、中性脂肪が高い人へのリスクを上げてしまう他にも、上記のようにさまざまなリスクがあります。

早速、今日からできる対策を検討してみましょう。

今日からできるリスク対策

病気のリスクを下げるには、もちろん禁煙が必須ですが、簡単にはいきませんよね。

「明日からやろう」と先延ばしにせず「何とかしなければ」と思ったその日から、何らかの中性脂肪対策のアクションを起こすことが改善の第一歩になります。

まずは有酸素運動を

1964_40禁煙は、喫煙者の方にとって大変つらいものです。

そこで、まずは運動での中性脂肪対策から始めてみましょう。

中性脂肪を下げるには、筋肉を鍛える無酸素運動より、比較的負荷の軽い有酸素運動が有効です。
「誰でもできる」にこだわった!インドア派でも続く中性脂肪を下げる有酸素運動・無酸素運動

ウォーキングや水泳が代表的ですね。

運動と言うと、そのためにわざわざ時間を作ったり、服を着替えたり…ちょっと面倒だな、と思っていませんか。

気負って考える必要はなく、普段の生活の中で次のようなちょっとした動きをプラスする感覚で始めてみましょう。

れだけでも最初は十分です。
  • エレベーターを使わず階段を利用する
  • 歩行時は姿勢よくきびきびと、普段より5㎝歩幅を広げる
  • 掃除の回数を増やす、床や窓の掃除をする
  • 車ではなく自転車を利用する
  • テレビを見ながらストレッチする など
  • まずは意識してたくさん動く習慣をつけます。体を動かすのに慣れてきたら、次のように運動量を増やしていきましょう。
  • 1日1万歩目指し、ウォーキング(スマホアプリや万歩計を使うとモチベーションが上がります)
  • 毎日ラジオ体操をする

これらも地道に続けるにはおすすめの運動です。

20分以上の有酸素運動の継続で脂肪代謝が始まります。

20分続けて行わなくても、1日トータル20分でも同じ効果が出ると言われています。

1日合計20分の運動を週3日以上行うことを目標にしていきましょう。

これなら、運動に苦手意識のある人でも続けやすいですよ。

禁煙の第一歩は生活パターンの見直し

1964_88禁煙を意識している段階ならば、禁煙を決意し実行できるよう、徐々に準備をしていってはいかがでしょうか。

成功する禁煙の手順は次のようになります。

➀禁煙をする理由、目標をはっきり決める
なぜ禁煙するのか、禁煙することでどのようになりたいのかを書き出しましょう。

書き出してあると途中でモチベーションが下がっても、初心にかえることができます。

例:中性脂肪を正常範囲まで下げ、健康な体になる など

②生活パターンの見直し
次に喫煙に関わる生活パターンを見直してみましょう。

たばこは、何か決まったタイミングで吸っていますよね。

起床後すぐ、食後、休憩時間、仕事帰りなど、パターンがあると思います。自分の行動を振返り、そのパターンを書き出してみましょう。

そして、たばこの代替になる対処法を考えます。

例えば、

<喫煙パターン>    <代替対処法>
・起床後すぐ →     まず洗顔をする
・食後 →        ガムを噛む
・仕事帰り →      コーヒーを飲む

などです。

自分の行動パターンと対処法を整理することで「これなら出来るかもしれない」「やってみよう」という自信や、やる気につながり成功しやすいですよ。

どうしてもやめられないようならば禁煙外来に通院するのも一つの手です。禁煙外来はその名の通り、禁煙を目指し治療を行う診療科です。

最近はそれなりにメジャーになり、様々な場所で見かけるようになりました。個人ではなかなかできないニコチンパッチなどを利用した治療ができるため、おすすめです。

中性脂肪を下げるサプリメントを利用しよう

中性脂肪を下げる効果がある成分と言うと、青魚に含まれているDHA・EPAが代表的です。

ある研究では、喫煙者でも魚を多く摂取すると虚血性心疾患の発症リスクが弱められるという報告もあります。

黒酢に含まれる必須アミノ酸にも内臓脂肪、中性脂肪を下げる効果があります。

これらを毎日の食事に取り入れたいところですが、効果が現れる十分量を食品から摂るのは難しいですよね。

そういう時はサプリメントを活用するのも1つの方法です。

DHAEPA黒酢単独でなく、ビタミンや他の有効成分も配合されている商品もあります。

自分に合うサプリメントを探して活用してみてください。
中性脂肪を効率よく下げるおすすめサプリメント・ドリンク

まとめ

1476_03たばこと中性脂肪。

この2つの要素が重なると動脈硬化が一気に加速してしまいます。

禁煙がベストですが、困難な場合は負担なくできることから始めてみましょう。

中性脂肪を下げるにも、禁煙するにも、まずアクションを起こすことが大切です。

それをきっかけに徐々に改善に向かえるように努力していきましょう。

急激な改善を望むより、スモールステップで進んでいく方が長続きし、結果的に成功につながるでしょう。

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監修者 山浦 真理子医師


帝京大学大学院卒業後、世界共通の医学博士号であるPh.D.を取得。米国ワシントンD.C.とニューヨークへ留学経験あり。宇宙環境医学の研究者として論文を執筆。現在は、上用賀世田谷通りクリニックにて内科医として勤務しています。

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