家族性・遺伝性の中性脂肪の病気「高トリグリセライド血症」や「低HDL血症」の原因と対策

1964_50

1964_50バランスの良い食事をしていても、また、年齢が若くても中性脂肪が高いという人もいます。

原因に心当たりがないのに、そのような検査結果が出てしまうと、不安になりますよね。
健康診断結果の見方。中性脂肪の正常値・異常値とは?

家族や親戚に、中性脂肪が高い人がいたから遺伝かな?と、考えることもあるでしょう。

この記事では、中性脂肪と遺伝について、どのような関係があるのか、またその対策について管理栄養士が解説していきます。

スポンサーリンク

中性脂肪の異常値とは

中性脂肪は、血液検査の時に必ずといっていいほど見られる、基本的な検査項目です。

肥満で中性脂肪が正常値の人もいますが、反対に、痩せていても高値になる人もいます。肥満による脂質異常症の人によく見られるのが、この中性脂肪の増加です。

病名は「高トリグリセライド血症」と言われ、「低HDL血症」という脂質異常症と同時に生じることが多いとされています。

脂質異常症の診断は、空腹時の血液検査の結果をもとに行われ、中性脂肪の基準値は150mg/dLです。

低値すぎるのも問題で、29mg/dL以下に下回ってしまうと、原因となる疾患がないか調べる対象となります。正常値は30~149mg/dLの範囲です。

中性脂肪は通常、男性の方が女性よりも高くなり、男性では40代、女性では60代に最も高くなるとされています。

治療法としては、運動や食事療法で改善を試みた後、低下がみられなければ薬物治療を開始する流れとなります。

また、中性脂肪値はメタボリックシンドロームの診断基準にも盛り込まれており、健康状態を診断するためには重要な指標です。

中性脂肪が高い・低い体質は遺伝するのか?

1964_51中性脂肪が高いのに、原因が思い浮かばない、そんな時にたどり着くのは「遺伝」ではないでしょうか。

人には「肥満遺伝子」というものがあります。

この肥満遺伝子は現在までに50以上もの数が見つかっており、エネルギー代謝に関連するものだといわれています。

以下に、主な肥満遺伝子とその性質をご紹介します。

倹約遺伝子

β3アドレナリン受容体(β3AR)という遺伝子の変異を持つ人は、中性脂肪の分解が抑制され、基礎代謝が低くなります。

つまり、中性脂肪が消費されにくく、溜め込みやすい体質だということです。

エネルギーを節約できる体質の人だけが生き延びれた、飢餓時代を経て変異したものだと考えられており、「倹約遺伝子」と呼ばれています。

今の時代は、飽食の時代とも呼ばれるほど、食べ物に溢れていますよね。

そのため、この現代の中で、このような遺伝子を持っている人は、消費エネルギーに対して摂取エネルギーが過剰になり、肥満を招きやすく、中性脂肪値も高くなりがちです。

脱共役たんぱく質1

UCP1と呼ばれる遺伝子の変異があります。エネルギーを燃焼させる、褐色脂肪細胞の働きが低下しており、基礎代謝が低く、消費エネルギーが少なくなる傾向にあります。

反対に、β2AR遺伝子に変異がある人は、基礎代謝量が多く、太りにくい体質であるといわれています。

中性脂肪に関係するのは、倹約遺伝子ですが、UCP1やβ2ARといった他の肥満遺伝子にも注目しておきたいですね。

 

1964_39β3AR遺伝子の変異は3人に1人が持っているようです。今は、遺伝子の分析もできるようになってきています。機会があれば調べてみるのも良いかもしれません。

自分の遺伝子がどのタイプなのかは、調べてみないとわからないのですが、家族に中性脂肪が高い人がいる場合は、食生活の面から見ても注意が必要です。

家族は同じ生活リズムで、同じ食事を摂ることが多いと考えられますので、健康診断の結果が似てくると考えられます。

家族みんなで健康に対しての意識を高め、良い方に合わせていけると良いですね。

家族性高コレステロール血症と中性脂肪の関係

家族性高コレステロール血症について

脂質異常に関する病気の一つに、家族性高コレステロール血症というものがあります。

この病気は、LDL(悪玉コレステロール)受容体に関する遺伝子の変異によって起こるものであり、遺伝性と認められています。

家族性高コレステロールは、皮膚や腱に黄色腫(黄色いイボ状の塊)が見られ、早発性冠動脈硬化症を特徴としています。

家族性高コレステロール血症は、同じ高コレステロール血症でも、遺伝的な要素がない人に比べて、LDLコレステロールの上昇が著しく、動脈硬化のスピードが速く、臓器障害の程度も強いという症状を現します。そのため、しっかりと早期からの対策治療が必要になります。

日本での家族性高コレステロール血症の患者は、25万人以上と推定されており、珍しい病気ではありません。

治療を受けている高LDLコレステロール血症患者の約8.5%が家族性高コレステロール血症のようです。

中性脂肪と家族性高コレステロール血症の関係

家族性高コレステロールは、目に見える異常が確認できたり、若い頃からコレステロール値が高くなるので、見逃しにくい病気ではありません。

ただ、進行のスピードが速いので、いかに早く発見して、治療を行うかというのが重要です。中性脂肪やコレステロールが高いと、血液がドロドロしやすくなり、動脈硬化を進行させます。

心筋梗塞や狭心症などの、動脈硬化が原因で起こる疾患は、通常50〜60代で現れやすいのですが、家族性コレステロール血症の場合は、男性で20代、女性では30代から起こるといわれています。

これらの病気は命の危険にも関わりますので、早いうちに動脈硬化の進行を食い止め、LDLコレステロールを低下させなくてはなりません。

遺伝的な要素に加え、食事や運動などの生活習慣が重なると、動脈硬化の進行をさらに進める原因となります。

中性脂肪は生活習慣が大きく関わるものですので、家族性高コレステロール血症は遺伝だから仕方ないと諦めるのではなく、リスクを上げる要因を減らしてあげなくてはなりません。

中性脂肪対策のまとめ

1964_40中性脂肪は、家族性高コレステロール血症のように、見た目で判断できたり、検査値で異常なくらい高い値が出るということはあまりないようですが、倹約遺伝子の関連によって、「中性脂肪の分解が抑制され、基礎代謝が低い」という体質の人もいるようです。

3人に1人がこの遺伝子を持っているということなので、もしかすると、自分もこの遺伝子を持っているかもしれませんね。

遺伝的には太りやすく、中性脂肪値が高くなりやすい体質の場合でも、食生活や運動習慣を改善するという基本的な部分は変わりません。
毎日の心がけで無理なく、中性脂肪を手っ取り早く落とす方法

体質だから仕方ないと諦めるのではなく、それに関連した病気のリスクを少しでも下げることができるよう、規則正しく健康的な生活を心がけていきましょう。

関連記事


監修者 山浦 真理子医師


帝京大学大学院卒業後、世界共通の医学博士号であるPh.D.を取得。米国ワシントンD.C.とニューヨークへ留学経験あり。宇宙環境医学の研究者として論文を執筆。現在は、上用賀世田谷通りクリニックにて内科医として勤務しています。

スポンサーリンク