30代は中性脂肪、悪玉コレステロールのターニングポイント!今までと同じ食生活では一気に数 値が悪化してしまう原因ととるべき対策とは

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メタボ30代に入ってから「太りやすく、痩せにくくなった」と感じていませんか? 

血中脂質の平均数値を見てみると、30代で男性では中性脂肪が、女性ではコレステロールの上昇が見られます。

30代は仕事などの社会生活が充実し始め、また結婚や出産など生活環境が大きく変わる時期です。

気づいたら上がっていた中性脂肪や悪玉コレステロール。

数値の上昇はメタボリックシンドロームの危険性を示し、脂質異常症へとつながってしまいます。

上昇の原因は何か?下げるためにはどんな対策が効果的か?看護師の立場から解説していきます。

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30代で数値が悪化する原因

30代は社会人、家庭人として担う責任が増し、毎日多忙な人が多いと思います。

健康管理にまで気が回らず、また「まだ若いから」と過信し、健康をおろそかにしてはいないでしょうか。

30代で上昇する中性脂肪や悪玉コレステロールの主な原因は次の通りです。

基礎代謝の低下で中性脂肪が上昇

私たちの体は20代までは成長期で代謝も活発ですが、そこをピークに30代から下り坂に入り始めます。

20代より基礎代謝が大幅に低下するため、同じ食生活では摂取したエネルギーが全て代謝されず体内に残り、その余ったエネルギーは肝臓で中性脂肪に合成され、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されていきます。

特に内臓脂肪は分解、合成が盛んなため、増えると血液中にどんどん放出され、結果、血中の中性脂肪が増えることになります。

生活習慣の変化

転換期血中脂質の上昇は、基礎代謝の低下と共に生活習慣とも大きく関係してきます。

30代は結婚や出産、一人暮らしを始めたなどそれぞれ生活環境に変化が訪れる時期です。

環境に変化が起きると生活習慣も変わり、いつの間にか太りやすい体になっていた、ということが多々あります。次のような変化はありませんでしたか?

➀食生活の変化

動物性脂肪の摂り過ぎ
奥さんの手料理が高カロリーの洋食が多い、一人暮らしでコンビニ弁当や外食が多い、出産後から食の好みが変わったなど、人それぞれですが30代は動物性脂肪摂取過多になりやすい要因が多く見られます。

動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれています。肉の脂身、生クリーム、バター、ラードなどが代表的です。

飽和脂肪酸は融解温度が高く、常温では固形、体内でも固まりやすく食べ過ぎると血液の粘稠度が上がり血行が悪くなります。

飽和脂肪酸は中性脂肪の基であり、また悪玉コレステロールの肝臓への取り込みを阻害し、血中の悪玉コレステロールを上昇させる作用があるのです。

過食、偏食
奥さんの手料理が美味しい、仕事の付き合いで外食が多い、専業主婦となりスイーツをよく食べるようになったなど、30代は過食にもなりやすい時期です。

朝食抜きや野菜不足など偏食も見られ、中性脂肪やコレステロール上昇につながっています。

②喫煙

喫煙が習慣になっている人、仕事や育児のストレスで喫煙を止められない人もいるのではないでしょうか。

たばこに含まれるニコチンは、内臓脂肪を増やすコルチゾールというホルモンの増加作用があり、脂肪をためやすい体になってしまいます。

③アルコールの摂り過ぎ

30代は仕事が充実してきて付き合いも増え、会食なども多くなる時期です。

しかし過度のアルコールは肝臓での中性脂肪の合成が促進され、また食欲も増すため過食につながります。

④運動不足

仕事や家庭のことで多忙となり、運動は二の次になっている人が多いと思います。

「時間が出来たら」「休みの日に」と運動を後回しにすることで、体は基礎代謝の低下に加え筋肉量も減少していき、脂肪をため込む体を作ってしまいます。

中性脂肪の上昇が悪玉コレステロールを上昇させる

中性脂肪とコレステロール血中に中性脂肪が増えると、悪玉コレステロールが増え、善玉コレステロールが減るという現象が起きます。

どのような仕組みで起きるのでしょうか。

中性脂肪やコレステロールは、そのままでは血液中に溶け込めないため、肝臓で親水性のあるタンパク質と結合し「リポ蛋白」となり、血液中に運ばれます。

リポ蛋白の成分は、中性脂肪、コレステロール、リン脂質、アポ蛋白です。比重が高いほどアポ蛋白の割合が多く、脂質の割合が少なくなります。

リポ蛋白は肝臓から放出され、血中を循環しながら次のように形を変えて行きます。

一段階:VLDL(超低比重リポ蛋白)
:中性脂肪を多く含む
↓ 血中で中性脂肪が分離され脂肪組織や筋肉に取り込まれる
二段階:LDL(低比重リポ蛋白)=悪玉コレステロール
:VLDLから中性脂肪が分離されコレステロール含有量が多くなった状態
↓ 血管や細胞にコレステロールを運び取り込まれる
三段階:HDL(高比重リポ蛋白)=善玉コレステロール
:LDLからコレステロールが分離されリポ蛋白含有量が多くなった状態
HDLは血中に残った余分なLDLを回収し肝臓に運ぶ

しかし、血中の中性脂肪が多いと次のようになります。
中性脂肪が多い

VDLDが多量に生成される

LDLも増える

LDLが多すぎると組織でコレステロールの受入れ先がなくなる

LDLからコレステロールを分離できない

HDLに変わることが出来ない=HDLが少なくなる

LDLのまま血中に放置

活性酸素により酸化されLDLが小型になる

血管内皮に入り込み蓄積

動脈硬化が進む

このように中性脂肪とコレステロールは相関関係があり、動脈硬化の原因になるのです。

女性では妊娠で上昇する

妊娠女性の30代は妊娠、出産の時期でもあります。

妊娠中は胎児を守り、栄養、エネルギーを確保するため脂肪がつきやすくなります。

また妊娠を維持するために女性ホルモンもたくさん生成されますが、その材料がコレステロールです。

このように妊娠中は脂肪、コレステロールが通常より必要になるため、総コレステロールは25-30%、中性脂肪は2-4倍増加すると言われています。

総コレステロールは300mg/dl前後、中性脂肪は200mg/dl前後が許容範囲の目安となります。

しかし、増え過ぎは妊娠高血圧症候群の発症につながるため注意が必要です。

上昇した中性脂肪、コレステロールは、産後6週頃まで続きますが、授乳することにより徐々に低下し正常値に戻ります。

上昇した中性脂肪、コレステロールは生活習慣の改善で戻そう

メタボリックシンドロームは40代からだろう、と安心していては危険です。

今後40代、50代と年を重ねるにつれ男女とも性ホルモンの減少が始まり、より脂肪がつきやすく、悪玉コレステロールが上昇する体になっていきます。

脂質異常症の8割以上が生活習慣に関連した原因で発症しています。30代のうち から生活習慣を改善し、脂肪がたまりにくい体づくりが大切になります。

食事の改善

食生活の改善まずは食生活の改善から始めましょう。

➀適正体重を維持する
身長(m)²×22=適正体重

②適正エネルギー以上摂らない
エネルギーを減らすと内臓脂肪が減り、中性脂肪の改善が図れます。
  • 30代男性170cmの場合:活動量少ない2130~活動量多い2840㎉
  • 30代女性156cmの場合:活動量少ない1730~活動量多い2020㎉
③飽和脂肪酸を控え、不飽和脂肪酸を多く摂る
不飽和脂肪酸はコレステロールの合成を抑え、善玉コレステロールを増やす作用があるため、積極的に摂りましょう。
  • 飽和脂肪酸:肉の脂身、内臓、皮、バター、ラード、乳製品、卵黄など
  • 不飽和脂肪酸:青魚(さば、まぐろ、いわしなど)、オリーブオイル、菜種油、ごま油など
④食物繊維を十分に摂る
食物繊維はコレステロールの排出作用があります。野菜、海草類、きのこ類などを積極的に取り入れて行きましょう。
  • 野菜の推奨1日摂取量:350g以上

目安としては、「1日5皿」です。 皿や小鉢1つ分が70g 位なので、5皿食べると350gになります。毎食1~2皿摂るようにしましょう。

外食をする時は、一品物より「主食・主菜・副菜」がそろっているものが理想的で、野菜や海草類の小鉢やみそ汁がついているものを選びましょう。

 
⑤抗酸化物質を摂る
血中脂質が増加すると活性酸素により脂質の酸化が始まり、動脈硬化が進んでしまいます。抗酸化作用のある食品を積極的に摂っていきましょう。

抗酸化物質にはポリフェノール、カロテノイド、ビタミンC、ビタミンEなどがあります。

ポリフェノール:
カロテノイド:
  • 緑黄色野菜(βカロチン)
  • トマト、スイカ(リコペン)
ビタミンC:
  • 野菜(キャベツ、ピーマン、ほうれん草、ブロッコリーなど)
  • 果物(グレープフルーツ、イチゴ、オレンジなど)
ビタミンE

抗酸化作用は、体全体の老化を防ぐことになります。30代はお肌の曲がり角、これらはアンチエイジングという意味でも意識していきたい食品です。
中性脂肪値を下げる食品とメカニズム、おすすめの摂り方まとめ

運動の習慣をつける

運動習慣運動も血中脂質を下げるための基本です。

運動することで脂肪が燃焼され、中性脂肪を減らす効果があります。

そして悪玉コレステロールは減り、善玉コレステロールが増えるため、血中脂質の改善を図れます。継続することで筋肉もつき、基礎代謝の増加も期待できます。

階段を使うなど日常生活での活動量を増やすことも有効ですが、有酸素運動として最近注目されている、スロージョギングをお勧めします。

ウォーキングより運動に強度があり、ジョギングよりは負担なくできるのが特徴です。

走る時のポイントは、
  • 隣の人と会話できるくらいのペースで
  • 呼吸は自然に、息が上がらないように
  • 顎を上げて、目線は遠くに
  • 足の指の付け根で着地する
  • 1日30~60分(3分を10回など小分けにしてもOK)

血中脂質を下げるためには少しずつでも継続が大切です。スロージョギングは気軽に体に負担なくでき、運動効果も見込めるため、長く続けるには有効な運動と言えます。
「誰でもできる」にこだわった!インドア派でも続く中性脂肪を下げる有酸素運動・無酸素運動

出勤前や夕食後など時間を決めて、短い時間からでも毎日実践してみましょう。

まとめ

30代は多くの人に生活環境の変化が訪れます。多忙な日々を送る中でメタボリックシンドローム、そして脂質異常症のリスクはじわじわと高まっています。

中年期を迎える前に、30代から健康的な生活習慣を整えていきましょう。

食事、運動の他にもアルコールは控えめにし、たばこは禁煙することも重要です。食事の改善、運動などは家族そろって取り組んでいけるとより効果的に進められるでしょう。

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監修者 山浦 真理子医師


帝京大学大学院卒業後、世界共通の医学博士号であるPh.D.を取得。米国ワシントンD.C.とニューヨークへ留学経験あり。宇宙環境医学の研究者として論文を執筆。現在は、上用賀世田谷通りクリニックにて内科医として勤務しています。

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